徴兵登録制度について:アメリカ国籍取得時に知っておくべき重要事項【男の子ママ必読】
2025年7月5日
読了時間: 5分
「アメリカ国籍を持つと戦争に行かなければならない?」男の子を出産予定の方が必ず抱く疑問と不安。Selective Service System(選抜徴兵登録制度)の真実と手続きを解説。
男の子ママの最大の懸念事項:アメリカ国籍と「兵役」
ハワイ出産で男の子を授かった場合、あるいは性別が分かる前から、ご両親が最も心配されることの一つが「兵役」の問題です。「アメリカ国籍を持つということは、将来アメリカが戦争をした時に、息子が徴兵されて戦地に行かされるのではないか?」「二重国籍でも逃れられないのか?」という不安です。
結論から申し上げますと、現在のアメリカに「徴兵制(Draft)」はありません。1973年(ベトナム戦争終了後)以降、アメリカ軍は完全な「志願制(Volunteer Force)」を採用しており、本人の意思に反して強制的に入隊させられることはありません。しかし、法律上、「徴兵制度をいつでも再開できるように名簿だけは準備しておく」ための登録制度が存在します。それが「Selective Service System(SSS:選抜徴兵登録制度)」です。この制度への理解不足が、不必要な不安や、逆に行政手続きの不備による将来の不利益を招くことがあります。この記事では、このSSSについて正しく理解し、親として18年後に何をすべきかを解説します。
結論から申し上げますと、現在のアメリカに「徴兵制(Draft)」はありません。1973年(ベトナム戦争終了後)以降、アメリカ軍は完全な「志願制(Volunteer Force)」を採用しており、本人の意思に反して強制的に入隊させられることはありません。しかし、法律上、「徴兵制度をいつでも再開できるように名簿だけは準備しておく」ための登録制度が存在します。それが「Selective Service System(SSS:選抜徴兵登録制度)」です。この制度への理解不足が、不必要な不安や、逆に行政手続きの不備による将来の不利益を招くことがあります。この記事では、このSSSについて正しく理解し、親として18年後に何をすべきかを解説します。
Selective Service System(SSS)とは何か
SSSは、アメリカ連邦政府の独立機関です。その役割は、国家非常事態(議会が徴兵制の復活を承認するような大規模な戦争など)が発生した場合に備えて、徴兵対象となり得る男性の名簿リストを作成・維持管理することです。あくまで「万が一の時のための名簿作り」であり、平時にここから徴兵されることはありません。
誰が登録しなければならないのか?
アメリカの法律(Military Selective Service Act)により、18歳から25歳までの全てのアメリカ市民および米国居住の男性に登録が義務付けられています。
ここが最も重要なポイントですが、アメリカ国外に住んでいる二重国籍者(日本で生まれ育った、ハワイ生まれの日本人など)も免除されません。「日本に住んでいるから関係ない」「英語が話せないから関係ない」という言い訳は通用しません。アメリカ国籍(市民権)を持っている限り、世界のどこに住んでいても登録義務があります。
誰が登録しなければならないのか?
アメリカの法律(Military Selective Service Act)により、18歳から25歳までの全てのアメリカ市民および米国居住の男性に登録が義務付けられています。
ここが最も重要なポイントですが、アメリカ国外に住んでいる二重国籍者(日本で生まれ育った、ハワイ生まれの日本人など)も免除されません。「日本に住んでいるから関係ない」「英語が話せないから関係ない」という言い訳は通用しません。アメリカ国籍(市民権)を持っている限り、世界のどこに住んでいても登録義務があります。
登録のタイミングと期限
法律上の登録期間は、18歳の誕生日の30日前から、18歳の誕生日の30日後までの60日間です。
しかし、実際には「Late Registration(遅延登録)」が認められており、26歳の誕生日を迎えるまでであれば、いつでも登録手続きが可能です。26歳を過ぎると、いかなる理由があっても登録することはできなくなり、後述するペナルティの対象が確定してしまいます。つまり、18歳から26歳までの8年間が「登録可能期間」です。
しかし、実際には「Late Registration(遅延登録)」が認められており、26歳の誕生日を迎えるまでであれば、いつでも登録手続きが可能です。26歳を過ぎると、いかなる理由があっても登録することはできなくなり、後述するペナルティの対象が確定してしまいます。つまり、18歳から26歳までの8年間が「登録可能期間」です。
登録しなかった場合のペナルティ(不利益)
「登録しなくてもバレないのでは?」「日本で暮らすなら関係ないのでは?」と思うかもしれませんが、未登録によるデメリットは、将来お子様が「やっぱりアメリカで挑戦したい」と思った時に、その道を閉ざしてしまう深刻なものです。
1. 連邦政府機関への就職不可: CIA, FBI, 郵便局(USPS)など、アメリカ連邦政府の機関(および一部の州政府機関)に就職することができません。
2. 奨学金の受給制限: アメリカの大学に進学する際、連邦政府からの奨学金(Pell Grants)や学生ローン(Student Loans)の受給資格を失う可能性があります(※一部の州では州独自の援助も制限されます)。
3. 市民権取得の障害: もしお子様が将来、何らかの理由でアメリカ市民権を喪失し(国籍選択で日本を選んだ後など)、再度永住権や市民権を取得しようとした場合、SSS未登録が「Good Moral Character(道徳的人格)」の欠如とみなされ、申請が却下される可能性があります。5年以上登録を怠っていた事実は、法律を守る意思がないと判断される材料になります。
4. 罰則: 法律上は、最大25万ドルの罰金または最大5年の禁錮刑が規定されています。ただし、実際に未登録だけで起訴されたケースは1986年以降ほとんどありませんので、逮捕される心配は現実的には低いです。
要するに、SSS登録は「将来の選択肢(特にアメリカでの就職や進学)を守るための保険」のようなものです。
1. 連邦政府機関への就職不可: CIA, FBI, 郵便局(USPS)など、アメリカ連邦政府の機関(および一部の州政府機関)に就職することができません。
2. 奨学金の受給制限: アメリカの大学に進学する際、連邦政府からの奨学金(Pell Grants)や学生ローン(Student Loans)の受給資格を失う可能性があります(※一部の州では州独自の援助も制限されます)。
3. 市民権取得の障害: もしお子様が将来、何らかの理由でアメリカ市民権を喪失し(国籍選択で日本を選んだ後など)、再度永住権や市民権を取得しようとした場合、SSS未登録が「Good Moral Character(道徳的人格)」の欠如とみなされ、申請が却下される可能性があります。5年以上登録を怠っていた事実は、法律を守る意思がないと判断される材料になります。
4. 罰則: 法律上は、最大25万ドルの罰金または最大5年の禁錮刑が規定されています。ただし、実際に未登録だけで起訴されたケースは1986年以降ほとんどありませんので、逮捕される心配は現実的には低いです。
要するに、SSS登録は「将来の選択肢(特にアメリカでの就職や進学)を守るための保険」のようなものです。
登録方法:驚くほど簡単です
手続き自体は非常にシンプルで、オンラインなら数分で完了します。
1. オンライン登録
SSSの公式サイト(sss.gov)にアクセスし、"Register"をクリック。以下の情報を入力します。
1. オンライン登録
SSSの公式サイト(sss.gov)にアクセスし、"Register"をクリック。以下の情報を入力します。
- 名前(Full Name)
- 生年月日(Date of Birth)
- ソーシャルセキュリティナンバー(SSN) ※必須です
- 現住所(Current Mailing Address) ※日本の住所でOKです
2. 郵便登録
アメリカの郵便局にある登録フォーム(SSS Form 1)に記入して送付、または在外米国大使館・領事館で手続きすることも可能です。
登録が完了すると、数週間後に「Registration Acknowledgment(登録確認書)」が届きます。これが「登録証明書」になりますので、大切に保管してください。
よくある誤解と真実
- Q. 登録したらすぐに徴兵されるの?
A. いいえ。徴兵制が復活するには、大統領の提案と上下両院での法案可決が必要です。これは政治的に極めてハードルが高く、よほどの有事でない限り現実的ではありません。
- Q. 二重国籍者は特別扱いされないの?
A. 登録義務は免除されませんが、もし徴兵制が復活した場合、日米地位協定などの国際条約により、兵役自体は免除または延期される可能性があります。また、審査の過程で「英語が話せない」「アメリカでの生活基盤がない」などの事情は考慮されます。
- Q. 親が代わりに登録できる?
A. はい、本人の情報を入力するだけなので、親が代行することも可能です(本人の同意は必要ですが)。
親がすべきこと:18年後のリマインダー
出産直後の親御さんが今すぐ何かをする必要はありません。必要なのは、「息子が18歳になったら手続きが必要だ」ということを覚えておくことです。
- エンディングノートや重要書類ファイルにメモを残す(「18歳になったらsss.govへ」)。
- SSNカードと一緒にメモを入れておく。
- お子様が成長し、自分の国籍について理解できる年齢になったら、しっかりと説明する(「あなたはアメリカ国籍も持っている。それは権利でもあるけれど、18歳になったら登録という義務もあるんだよ」と)。
親の役割は、子供に「選択肢」を残してあげることです。手続きを忘れたせいで、子供の将来の夢が絶たれることがないよう、知識として持っておいてください。